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2022.08.10

フローリングについて

一般的なフローリングのほとんどに、どの種類のフロアコーティングも施工することができます。あらかじめ知っておくべきフローリングの基礎的な知識や、タイプごとのフロアコーティングとの相性、その後の保証はどうなるのかなどについて、わかりやすく説明します。

1. ほとんどは複合フローリング
2. 「目に見えている木」は、0.3ミリほどの薄い板
3. シートフローリング
4. 床暖房仕様のフローリング
5. ワックスフリー・ノンワックスのフローリング
6. 無塗装の無垢フローリング
7. フロアコーティング施工ができないフローリング
8. 「最初からコーティング施工されている」は錯誤
9. フロアコーティングが理由で、メーカーの保証が受けられなくなることはない

1. ほとんどは複合フローリング

今日一般的な住宅に用いられるものは、ほとんどが複合フローリングと呼ばれるタイプです。フローリングは2つに大別することができ、一方は無垢フローリングあるいは単層フローリングと呼ばれる、シンプルに1枚1種の木材からできたもの、そしてもう片方が複合フローリングと総称される、合板、集成材の上に化粧板を貼ることでつくられたタイプであり、特別に無垢フローリングを別注しないかぎり、ほぼすべての家が、この複合フローリングを使用しています。
複合フローリングの利点は、まず安価であること、そして反りなどの俗に「暴れ」と呼ばれる、商品の個体差が小さくロスがないことが挙げられます。より安く、そして見た目には美しい木目を愉しむことができる技術の結実だと言ってよいでしょう。
そして、この複合フローリングこそ対象にフロアコーティングはつくられており、実際に数多く施工されています。

2. 「目に見えている木」は、0.3ミリほどの薄い板

わたしたちがフローリングを見下ろすとき、その目に見えている化粧板と呼ばれる表面の木材は、わずか0.3ミリほどの厚さしかありません。毎日、何十年とその上を歩き続け生活していれば、すり減って何の不思議もない薄さです。もちろん、複合フローリングが床として脆弱なのかと言えば、決してそうではありません。そう簡単に折れたり曲がったりなどしませんし、少々表面が傷んだからとしても、それで床としての本来の働きが損なわれるわけではありませんから。
しかし、家主の多くにとってはやはり美観も大事であって、その薄い板の美しさを、できるだけ長く保ちたいと願います。より正確に表現するならば、フロアコーティングが守るものは化粧板であり、それがすなわちフローリングの美しさであるのだと言えるでしょう。全体の剛性や耐久性を強化するものではありませんから、フローリング=床そのものを保護するというような類の表現は、いささか大言であるやも知れません。

3. シートフローリング

シートフローリングも、そのほとんどがフロアコーティング施工することができます。これは比較的最近出はじめたフローリングですが、マンションをはじめ急速な普及を見せているものでもあります。従来の複合フローリングには表面に天然木の化粧板が貼られていたところに、木目を印刷したオレフィンシートなどを貼ることで、より安価に、そして安定した品質で生産することを実現したものが、このシートフローリングです。
プリントした紙が貼ってあるのだと言われるとチープな印象を持ってしまいがちですが、従来の天然木突板の複合フローリングよりも総じて高性能であり、もちろんモノによって異なりはしますが、基本的にはシートフローリングの方が強く、耐久性が高い傾向にあります。フロアコーティング業者が「シート=紙だから弱い」かのようなセールス・トークを吹聴することがありますが、ウソとは言わないまでも行き過ぎた誇張です。ただしもちろん、フロアコーティング施工した方がより長く美しく保つことができるのも事実です。

4. 床暖房仕様のフローリング

床暖房であっても施工できます。現行のどの種類フロアコーティングであっても、床暖房程度の熱で容易に変質したり割れたりすることはなく、また、床暖房の構造に悪影響を及ぼすこともありません。心配する必要は一切ないと言ってよいでしょう。
「床暖房だと、耐熱性の高いコーティングでないと問題が起きやすい(から、ウチの商品にしましょう!)」といったセール・トークを耳にすることがありますが、たしかに耐えうる温度の高低は種類によってかなりの違いはあるものの、先のとおり床暖房程度では、どのフロアコーティングであってもそれが原因で不具合を生じることは考えにくく、これは誠実とはとても言い難い表現です。もし仮に、そのような事態が実際に起こったとしたら、それは種類がまずかったのではなく、ひとえに施工に問題があったためでしょう。

5. ワックスフリー・ノンワックスのフローリング

ワックスフリーあるいはノンワックスと称するフローリングも、問題なくフロアコーティングを施工することができます。これらはよく「ワックスをかけてはならない=フロアコーティングも適合しない」と錯誤されがちですが、正しくは「ワックスがけをせずとも、ある程度の間美しさが保たれる」ことを意味する名称で、端的に言えば、そのフローリングが比較的高性能であることを示す分類のひとつです。(ワックスをかけてはならないフローリングも存在し、こちらは「ワックス禁止フローリング」と、別の名称を持っています)
なお、こうしたワックスフリー・ノンワックスについても、フローリングメーカーは定期的なワックスがけが最善と推奨しており、自社製・専用のワックスも販売されています。フロアコーティング施工が適することを、別の角度から表している事実と言えるでしょう。

6. 無塗装の無垢フローリング

基本的にフロアコーティング施工は推奨されません。木材本来の手触りを質感を損なわないため、また、傷などの経年劣化もテイスト・価値の一環と考えるべき建材であることが、そのおもな理由です。
ただし、塗装無垢と呼ばれるタイプについては、元から表面加工が施してあるため、その上からより耐久性の高いフロアコーティングを施工することは適切で、理に適っていると言えます。
また、無塗装のものも施工自体は可能ですが、塗料を甚だしく吸い込んでしまい、十分な厚さの塗膜ができあがるまで複数回の塗装が必要になる場合があります。

7. フロアコーティング施工ができないフローリング

まれにですが、どんな技術の高い業者も施工ができないフローリングが存在します。どうしても塗料が密着しない、または表面がワックスの剥離に耐えられないほどに弱いことが、そのもっとも大きな理由です。また、Aの業者は施工できるが、Bには無理だという施工者の技術差に起因するケースは、もっとずっと数多く存在することでしょう。事前に必ずフローリングのメーカー名・型番を把握し、これを業者に伝えて施工の可否を確認しておくべきです。

8. 「最初からコーティング施工されている」は錯誤

フローリング製造時の表面加工と、フロアコーティングを混同する錯誤があります。「このフローリングは、最初からフロアコーティングがされているタイプだ」と、誰それから聞かされたという方がたまにおられますが、これはフローリング製造時に表面に施されるものとフロアコーティング施工を混同した、誤った認識です。実際、無塗装の無垢以外のフローリングはすべてこの手の処理が施されており、たしかに「コーティングされている」こと自体は事実と言えますが、これを後施工のフロアコーティングと同位に考えることはあまりにも乱暴で、両者は塗膜の厚みがまったく違い、耐久性にも当然に大きな隔たりがあります。
なお、まれにフロアコーティング(というよりは、その業者が)嫌いの現場監督が、施主にそれをさせまいと恣意的に吹き込むケースがあるようです。

9. フロアコーティングが理由で、メーカーの保証が受けられなくなることはない

フローリング自体の問題であれば、フロアコーティングをしていようがいまいが、保証の範囲と期間内において当然に直してもらえます。これも一種の錯誤・混同なのですが、フローリングメーカー(というよりは建主)の言わんとするところを正しく記すと「フロアコーティング施工が原因で、フローリング表面などに不具合を生じた場合、それを直すと保証はしない・できない」…であるものが、「フロアコーティング施工をしたフローリングは、保証しない」…と、口頭で伝えるうちに元と意の異なる省略で認識されてしまったためでしょう。
もちろん、フロアコーティング施工がまずくてフローリングを損ねたならば、それはコーティング業者の責であり、建主やフローリングメーカーが保証しないのは当たり前です。しかし、一度フロアコーティングをしてしまったら最後、一切の保証は失ってしまい、その後でフローリングにどんな問題が見つかったとしても直してはもらえなくなるといったことはありえず、この点について心配する必要はありません。同様に、問題があって交換した新しいフローリングの塗装については、もちろんフロアコーティング業者も保証はしておらず、別途に料金を請求されます。

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